Metonymical Deflection

ゆるく日々のコト・たまにITインフラ

外資企業への転職時に事前準備した方がよいこと

日系企業から初めて外資企業に転職したいと考えている方に向けて、事前に準備しておいた方が良いな、と感じたことを書きたいと思います。*1

特に日系企業では、あまり実施されていない信用調査については、深掘りしたいと思います。
逆にレジュメの書き方や英語面接対策には、あまり触れませんので、あしからず。

外資企業へ転職する際の大まかな流れとしては、以下のようになると思います。*2
それぞれのフェーズで準備しておいた方が良いものを記載していきます。

  1. 書類選考
  2. 面接
  3. オファー
  4. 信用調査

1.書類選考

エントリーする上で、主に以下の書類が必要になります。

  • レジュメ(Resume)
  • CV(Curriculum Vitae)
  • カバーレター(Cover Letter)
  • 職務経歴書
  • 履歴書
レジュメ or CV エントリーしたい企業に合わせて準備しましょう。レジュメを求められているのにCVを出したりしないように。
カバーレター 任意ですが準備するに越したことはありません
履歴書&職務経歴書 日本法人のある外資企業や直属の上司が日本人の可能性がある場合は、レジュメと合わせ参考資料として提出してもよいと思います。

レジュメやCVの違いや書き方については、ググればたくさん出てきます。
例えば、以下のようなサイトは参考になるかと思います。
Curriculum Vitae(CV)とは?英文レジュメとCV(職務経歴書)の違いについて | Worth Working

2.面接

面接をする上で必要なことは、日系企業と大差はありませんが、

  • 論理的思考力

は、特に重視されると思います。

当然、企業によって面接内容は異なりますが、特にIT関連企業に関して言うと、技術面接はとても大切です。
なぜなら、職歴に記載された技術的経験やスキルについて、どの程度理解しているのか?を見られるからです。

では、どのようにして理解度を見られるかというと、面接官から投げかけられる業務に関する質問に対して、自分の言葉で説明できるかを見られます。

本当に理解しているということは、他人に対しても理解してもらえる説明ができること、だからです。

このため、これまで経験してきた業務に関する知識やスキルなどは、今一度棚卸しの意味も含めて、説明できるレベルまでに昇華させておくべきです。

その他、一般的な英語面接のHow toなどは、ググればたくさん出てきますので、ここでは割愛します。
例えば、以下のようなサイトは参考になるかと思います。
英語面接:そのまま聞かれる質問50題と回答例文-挨拶、自己紹介、志望動機、外資系企業の転職面接対策など

3.オファー

雇用契約書や労働条件通知書などに相当するものがオファーレターです。
雇用条件や職務範囲、注意事項や禁止事項など、詳細に記載された書類が発行されることにより内定となります。

しかし、オファーレターが発行される前に、前職給与を考慮するなどの目的で、以下の提示を求められる場合があります。

  1. 前年度の源泉徴収票
  2. 直近の給与明細 etc.

また、スキャナ付プリンタはあった方が良いと思います。
というのも、いちいち郵送していたら時間が掛かり過ぎてしまうからです。
ましてや人事(Human Resource)部門のオフィスが海外にある場合は尚更です。

さらに付け加えると、オファーレターには直筆署名を求められる場合があるため、印刷して、署名して、スキャナで取り込んで、メール添付して返送する、といったときにも、スキャナ付プリンタは重宝します。

また、この後に記載する信用調査においても、多くの書類提出を求められるため、スキャナ付プリンタがあれば何かと便利です。*3

4.信用調査

信用調査(Background Check)といった場合、概ね以下のような項目を調査されるようです。

  • 学歴
  • 職歴
  • 犯罪歴
  • リファレンス(照会) etc.*4

企業が直接実施する場合もあれば、企業が委託した信用調査会社にて実施する場合もあります。
また、上記のような項目をすべて調査する場合もあれば、一部の項目のみの場合もあります。

ただし、往々にして多いのはリファレンスです。外資企業の場合、リファレンスは必須と考えておいた方がよいと思いますが、詳細は後述します。

それぞれ必要な書類などは異なりますが、仕事をしながら集めるとなると、予想以上に時間を要するものもあるため、事前に準備できるものはしておきましょう。

4-1.学歴

以下のいずれかを準備しておきましょう。

  1. 卒業証書(Diploma)
  2. 卒業証明書(Degree Certificate)
  3. 成績証明書(Transcript)

1.は、卒業式でもらえますが、日本の大学であれば日本語だと思います。
このため、可能な限り英語の2. or 3. を事前に発行しておきましょう。
また、英語の各種証明書は、発行までに1~2週間程度掛かることもあるため、早めに取得しておくべきです。*5

また、大学により異なると思いますが、私が卒業した大学の証明書を確認した結果、記載内容が以下の通り微妙に異なっていました。

証明書 記載内容
日本語 卒業証書 専攻・学位・卒業年月日
日本語 卒業証明書 専攻・卒業年月日
日本語 成績証明書 専攻・卒業年月・入学年月
英語 卒業証明書 専攻・学位・卒業年月日・入学年月日
英語 成績証明書 専攻・学位・卒業年月日・入学年月日

このため、多少お金が掛かっても英語の証明書の方が良いかもしれません。

4-2.職歴

以下のいずれかを準備しておきましょう。場合により複数になることもあります。

  1. 給与明細
  2. 雇用契約
  3. 退職証明書
  4. リファレンスレター

1.給与明細
自分が就業した全企業の全期間を保管しておくことが望ましいです。しかし、何度か転職をしているのであれば、各会社の最初と最後に発行された給与明細だけでも良いと思います。

また、派遣会社に登録後、派遣先で就業している場合、給与明細に派遣元企業と派遣先企業が記載されていることを確認してください。なぜなら、給与明細の発行者は派遣元企業になりますが、職務経歴書に記載する職務内容は派遣先での業務実績となるためです。

2.雇用契約
現職の職歴を証明するものとして保管しておくことが望ましいです。
というのも、職歴調査では企業や信用調査会社が現職や前職の勤め先に連絡を入れる場合があります。

このため、現職の場合、オファーが出る前に転職のことを上司や同僚に知られたくないor話したくないことがあると思いますので、現職の職歴証明として、雇用契約書は保管しておきましょう。
最悪、雇用契約書を紛失してしまった場合は、最初と直近の給与明細があれば問題ありません。

3.退職証明書
転職をしている人はわかると思いますが、何も言わずに発行してくれる会社もあれば、言わないと発行してくれない会社もあります。大事なのは、いつからいつまで就業していたか?が判別できる記載内容になっていることです。

4.リファレンスレター
レアケースですが、会社が倒産した場合や個人事業主(フリーランス)として仕事を行っていた場合、勤め先に連絡することができないため、提出を求められることがあります。

当時の上司や同僚、取引先の方などに依頼して書いてもらうことになるため、人間関係によっては、上記1.~3.よりも準備の敷居が高くなります。*6

4-3.犯罪歴

  1. パスポート

パスポートは、日本国籍があることの証明やパスポート番号から海外も含む犯罪歴の照会に使用されるようです。*7
取得に2週間くらい掛かるため、早めにパスポート取得申請を行ってください。

また、企業や信用調査会社が本人の承諾を得て犯罪歴を照会するため、犯罪歴照会の承諾書に直筆署名を求められる場合があります。このときにもスキャナ付きプリンタは活躍してくれます。

ちなみに、スピードや駐禁違反などの軽微な交通違反であれば特に問題ありません。

4-4.リファレンス(照会)

現職or前職で最低3名くらい居てくれたら安心です。

  1. 信頼のおける上司
  2. 信頼のおける同僚
  3. 信頼のおける取引先の方

リファレンス(照会)は、Reference CheckやProfessional Referenceなどと呼ばれている場合もあります。
日系企業ではあまり一般的ではないため以下に諸々記載します。

目的
リファレンスは、現職や前職などにおける業務実績や勤務状況に偽りがないかなど、履歴書や職務経歴書、面接では把握しきれないことを確認するために実施されます。

進め方
企業や信用調査会社からRefereeへ電話やメールでコンタクトを取ります。そして、業務実績や勤務状況、人間関係などに関する質問をRefereeに対して行います。

Refereeとは
Referee(レフェリー)とは、現職や前職の上司や同僚、取引先の方など、あなたの身元照会先となる人物のこと。

Refereeの英語力
基本的にRefereeの英語力は求められません。
なので「電話する場合は日本語でお願いします」などと、リクエストするなり相談してもよいと思います。
英語のできないRefereeに英語で質問した結果、まともな回答が得られなければ本末転倒なので。*8

Refereeの選出
一般的に2~3名程度の選出が求められます。
そして、選出したRefereeの連絡先を企業や信用調査会社に伝えることになります。
このため、Refereeから事前に承諾を得ることはもとより、それ相応の人間関係を構築できていなければ、そもそもRefereeを選出できない、ということになり兼ねません。

さらに付け加えると、Refereeを選出できるような人物か?という点は、見られているのだと思います。
但し、社会人経験が浅く転職経験が無い方に限り、自分の出身大学の教授に依頼してもよい、という場合もあるようですので、企業や信用調査会社に相談してみましょう。

リファレンスのタイミング
リファレンスは、最終面接後のオファーレターが出る前に実施される場合と、オファーレターが出た後に実施される場合があるようです。

基本的にRefereeの回答内容によって選考が中止されたり、オファーが取り消されることはないようですが、経歴詐称などが発覚した場合は、この限りではありません。

現職の上司や同僚について
オファーレターが出る前にリファレンスされる場合、現職の上司や同僚には転職のことを話したくないということもあるかと思います。

その場合は、正直にその旨を企業や信用調査会社に伝えて、前職の上司や同僚、現職の取引先の方を選出してもよいと思います。

職歴との関連性
リファレンスの質問内容が、職歴の調査と被りる面も若干ありますが、別物と考えるべきです。

職歴は、あくまでも履歴書や職務経歴書の裏付けとして、時系列に沿って、いつからいつまで、どの企業に、どんな立場(正社員or派遣社員など)で勤務していたか?が確認されます。
一方、リファレンスは、職務経歴上の任意の期間(概ね1年以上)における業務実績などの質問に対して、Refereeから得られた回答内容が確認されます。

リファレンスは、その当時に勤務していた企業の職歴の一部を裏付けることができます。
しかし、それは職歴そのものを証明するものではないことに注意してください。

以上です。

5.最後に

信用調査などの話を初めて聞いた方は、とても厳しいなと感じられる方もいるかと思います。
しかし、その一方で、これから仕事をする就業先の方々は皆、信用調査をクリアしてこられたと考えれば、むしろ安心感が得られるのではないでしょうか。
外資企業にとっての信用調査とは、自社にそぐわない人を雇わないための最低限の施策、だと考えれば、自ずと腑に落ちるのではないかと思います。

また最近、終身雇用制度や年金制度の崩壊が決定付けられてきました。
今後、人材流動性を上げるための施策などが次々と出てくると想定されます。
このような状況を踏まえた上で転職する際には、選択肢の一つとして、日系企業だけでなく外資企業に目を向けることも良いのではないかと思います。

なぜなら、

  • 転職先の企業数が一気に(ワールドワイドに)広がる
  • 外資の勤務経験があれば他の外資にも転職し易くなる

といったことなどが挙げられるためです。

少なくても、日系企業では経験出来なかった大きな世界が広がっている、ということは言えると思います。

*1:私の職業柄ですが、技術職に特化している部分がありますので、あしからず。

*2:信用調査は、面接とオファーの間に実施される場合もあるようです。

*3:時間があるときはコンビニの複合機でスキャンして自分のメアド宛に送信するのもありかもしれません。また最悪、急いでいるときなどは、スマホで写真でもいいのかもしれませんが、正式文書として扱われる書類なので、よく考えてください。

*4:病歴や借金の有無を調査される場合もあるようです。

*5:大学の窓口でしか受け付けてないとか、受付時間が平日日中のみなど、社会人的には様々な制約がある可能性も考慮して、早めに発行してもらいましょう。

*6:前提として、当時の上司や取引先の方の連絡先を知っていることはもとより、こちらの依頼に対して、快く引き受けてもらえる人間関係が何よりも重要となってくるためです。

*7:話が少し逸れますが、外資企業の本社採用の場合(例えば、米国での勤務となる場合)は、パスポートに加えて、当然ビザも必要になります。就労ビザの取得方法は「海外転職」などでググってください。

*8:もちろん、英語ができて信頼のおける上司が理想的ですが、日系企業にしか勤務したことがないことを伝えれば、充分考慮してもらえるはずです。